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第57話 ひまりが帰る日

last update 最終更新日: 2025-11-12 06:00:00

──日曜日

いつも、帰る時は寂しい。

楽し過ぎた。

やっぱり1日も早くこっちに来て、一緒に暮らしたいと思った。

手を繋いで、ギリギリまで一緒に居る。

2人共、徐々に口数が減る。

「来週は、俺が帰るようにするからな」と言うヒロさん。

「うん」

しばらくは、こんな日が続くのか……

無情にも、新幹線が入って来た。

「じゃあ、またね」と言うと、

「おお、気をつけて」と。

「うん」

「駅まで中村さんが迎えに来てくれてるからな」

「うん、ありがとう」

前回よりは、少しマシだが、やっぱり別れる時は寂しい。繋いだ手がなかなか離せない。

新幹線のドアが開いた。

「じゃあ、行くね」と言うと、

「うん」と言いながら、ぎゅっと抱きしめられた。

やっぱり、ウルウルしてしまう。

「帰ったら、連絡して。いや、やっぱりすぐに連絡する」と言うヒロさん。

「ふふ、うん」

「じゃあね」

「うん、あとでな」

「うん」

寂しくないように、『あとで』と言ってくれる。

ようやく手を振り、新幹線の中へ

必ずホーム側の窓際の席を取るので、最後まで手を振ることが出来る。

この前とは逆だ。今日はヒロさんが見送ってくれる。窓際まで来て、手のひらを窓ガラスに当てている。私も手を合わせる。

── これ一度やってみたかったんだよね

丈夫な窓ガラスだから、体温なんて感じないけど、ヒロさんの姿が見えているから、それで良い

そして、いよいよ、発車の音が
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